昨日のソフトバンクの決算説明会では後継者の指名、アリババの業績拡大、スプリントの持ち直しなど明るい話が多く出ていました。ソフトバンクの本業である国内の移動通信事業についても「経営が安定している」とし、大きな成長は望めないものの安定した収益をソフトバンクグループにもたらす事業として認識されていました。
しかし本当に好調なのでしょうか。確かに事業ドメイン「移動通信事業」の業績(スマホアプリ、海外での端末販売なども含めた収益、利益)の数字は安定していますが、国内の通信事業に限れば足元の数字は不安定に見えます。
契約純増数は2013年度(344万契約)に比べて半分程度(184万契約)まで減少しています。ソフトバンクは一時期盛んにやっていたような無理な純増稼ぎを止めており、フォトフレームや体重計、みまもりケータイをセットで契約して割り引くという販売手法があまり取られなくなっています。その影響が契約純増数の成長力鈍化につながっているのでしょう。
しかしそうした純増稼ぎの端末の販売が減ればARPUが上昇してもおかしくないのですが、ARPUの下落(13年度4,450円、14年度4,230円)が続いていることが不安定さを象徴します。また解約率も2年契約の終わった純増稼ぎ端末の解約が続いたようで高止まりが続いています。MNPでも公式発表あはりませんが、第3四半期は流出超過と推計されています。
(契約数)×(ARPU)=(かなり大雑把な月間通信量収入)の数字も前年に比べてほとんど伸びていません(13年度末:1,559.1億円、14年度末:1,559.7億円)。これまではARPUが低下しても契約数がそれを上回るペースで増加することで収益拡大を達成していたのですが、この事業モデルは限界に来ているのかもしれません。どの数字もソフトバンクの移動通信事業の不安定さを示していると思います。
孫社長はこの分野を宮内氏に任せて、決算説明会でもあまり言及しなくなっています。またiPhoneに対する情熱もほぼなくなっており、最近のソフトバンクは特徴のないキャリアになってしまっている気がします。