AppleはiOS 9から英語圏(アメリカ、イギリス、オーストラリア)でNewsアプリを提供しています。登録されたニュースサイト、情報サイトの記事が一元的に読めるサービスで好みの記事がピックアップされる「For You」機能も搭載されています。ただこのサービスが日本などの未提供国に拡大していく気配は一切ありません。
Newsアプリ利用者数は7,000万人
AppleはNewsアプリの利用者数を2016年11月時点で7,000万人と発表しています。NewsアプリはGunosyやSmart Newsと同じようなアプリなのですが、Gunosyの累計ダウンロード数が1,600万、Smart Newsが1,900万あることを考えると、Newsアプリが膨大なユーザーを抱えていることがわかります。
ただNewsアプリが現在対応しているのはアメリカ、イギリス、オーストラリアのみとなっています。ユーザーの好みにあった記事を「For You」として勧めるAIが英語以外の言語が対応していないからかもしれません。また注目記事のピックアップは自動化されておらず、言語ごとに編集者となる人を配置することの難しさも多言語化の障害になっているのかもしれません。
Newsアプリの事業戦略は不明
さらに言えば、AppleがNewsアプリをどのように成長させていきたいかを決めかねている気もします。Newsアプリに記事を配信すれば広告収入(自社で獲得した広告は100%、Appleが配信した広告は70%)を得ることができます。しかしAppleは広告事業を縮小しており、NewsアプリでAppleが得る収益は多くはなさそうです。
一般的に収益性の低い事業は事業拡大のための投資の優先順位が下がります。AppleにとってNewsアプリはこういう存在になってしまっているのではないでしょうか。Newsアプリの収益性が低いことが多言語で展開されない最大の原因になっている気がします。この問題(ネットメディア・プラットフォームの収益性の問題)は非常に厄介であり、Appleがこれをどう解決するか(それとも投げ出すか)、非常に興味深いところです。
ちなみにNewsアプリは日本でもiPhoneやiPadの地域設定を「アメリカ(イギリス、オーストラリア)」に設定するれば利用できます。ただ対応言語は英語のみです。