ネット通販最大手のAmazonが高級スーパーのWhole Foods Marketを137億(約1.5兆円)ドルで買収することで合意したとのユースが流れ、大きな反響を呼んでいます。証券市場では他の小売企業の株価は暴落し、反対にAmazonとWhole Foodsの株価が急騰しています。またIT系のネットメディアもこの買収の意外さと可能性を大きく報じています。(アマゾン、ホールフーズを137億ドルで買収-食品販売に本格参入)
実店舗を手に入れたAmazon
Amazonはこれまで規模と知名度を生かして、既存流通システムを幾度となく破壊してきました。破壊によって軋轢を生むこともありましたが、多くの場合は消費者にも支持され、それがAmazonの成長へと繋がってきました。今回のWhole Foodsの買収で、この破壊が食品スーパーにも波及するのではないかと予想されています。
Whole Foodsの買収によってAmazonの競合となる小売大手の株価は急落し、一時、大手5社合計で28.5億ドル(3100億円)も時価総額を低下させてしまっています。Amazonの参入によって書店が大量に閉鎖された歴史が繰り返されるのでしょうか。しかし今回はAmazonも実店舗を持って食品スーパー市場に参入します。これが何を意味するのでしょうか。
より生活に入り込むAmazon
Whole Foodsは全米に460店舗を展開する高級スーパーですが、これがAmazonの食品通販の配送拠点になるとも考えられています。また食品スーパーが持つ流通システムを手に入れたことで、新鮮な食品を消費者に直接届けることも可能になるかもしれません。Amazon Echoが人々の生活により入り込み、その利点を最大限に活かすには食品スーパーの力が必要だったのかもしれません。
Amazonが店舗を持つ食品スーパーを買収したことは今後のネット通販のビジネスモデルに大きな影響を与えそうです。ネットで便利になんでも買える社会にはなっていますが、まだ日々の買い物の多くは実店舗で行われています。この日々の買い物にもAmazonが浸透してくるのは一部不気味でもある一方、さらに便利にもなるという期待感も持てます。
ちなみに食品スーパーとしてのWhole Foodsは高級路線で価格帯は少し高め、中所得者以上をターゲットとして事業を展開しています。このWhole Foodsの顧客層とAmazon Echoの利用者層は重なっていると考えられ、また「少し高いけど便利だしAmazonで自宅に配送してもらおう」と考える消費者とも重複しそうで、そうした意味でも絶妙な企業買収になりそうです。