Appleは14日未明の発表イベントでiPhone 12/12 mini、iPhone 12 Pro/Pro Maxを発表しました、いずれのモデルも5G通信に対応していることが大きな特徴の一つと紹介され、アメリカで販売されるモデルはミリ波にも対応すると大々的に発表されました。しかしユーザー目線で見て、5G対応は新しいiPhoneの魅力にはならない気がします。
エリアの狭さ
5G通信サービスは高速大容量、大量の同時接続処理、低遅延など通信にとって画期的な性能を誇ります。しかし現時点でそのメリットを受けられる5G通信のエリアは主要駅周辺や各キャリアの主要ショップなど本当に狭い場所のみです。東京でこそ主要駅の駅ビルなどで使える場合があるのですが、地方都市に行けばキャリアショップ店内のみというケースも多く、正直、スマートフォンのエリアとして使い物になるレベルではありません。(下記エリアマップはauの5Gエリア:赤い点がエリア)
iPhone 5発売時のLTEエリアでもこれより数段マシな状態でした。LTEの場合はそこから各キャリアの努力(キャリア間の競争も大いに影響したでしょう)によって、一気にエリアが拡大し、今ではほとんど全てのユーザーが4G通信の快適さのメリットを受けられるようになっています。しかし5G通信のエリア拡大にはこの時のような勢いを感じません。
用途の少なさ
エリアが拡大しないのは、現時点で挙げられる5G通信のメリットが「4G通信でするより速い」程度なのがネックになっていると考えます。そもそもユーザーの多くは一部混雑エリア以外で4G通信の速度にあまり不満を感じておらず、4Gより速いに優位性を感じることはほぼありません(スピードテストで1Gbpsが出ると痺れそうですが)。
この点についてはAppleもアピールポイントを見出せずにいるようです。Appleの製品発表では数字で性能の向上を訴えるよりも、実際の使用で革新的な新技術の優位性を訴求することに重点を置きます。しかし今回、Appleが5Gのメリットとしてあげたのは5Gの数字であり、ほんの少しの実例と抽象的な将来性のみでした。これではユーザーが5G通信に期待を持つのも難しいでしょう。
将来への期待はある
ただ5G通信のエリアが今の4G並に整備されれば、そこには今からは想像もつかない世界が広がっていることは確実です。自動運転車両、自走ロボット、ドローンなどがiPhoneと互いに連携しあい、それぞれが独立して動く。市中に5G通信のエリアが広がればそんな近未来な世界が実現するはずです。
そうした未来の具体的な姿をAppleが提示できれば、Appleは5G時代もスマートフォンを牽引する存在として巨大な影響力を発揮することができるでしょう。Appleファンとしてその世界を楽しみにしてはいます。