19日未明に開催されたAppleのスペシャルイベントで発表された中で、異色で意外だったのがApple Music Voiceプランでした。このプランをApple Musicの実質値下げと捉えるか、それとももっと大きなAppleの野望の一部と見るか。
Hey, Siriで操作
Apple Music Voiceプランの最大の特徴はSiriからの操作に特化したことです。これまでもSiriとApple Musicは密接に連携していました。それをさらに発展させ、Siriからの操作に特化させることで音楽を楽しむスタイルを刷新しようという試みにも見えます。
「Hey, Siri 朝にピッタリの曲を再生して」と頼めばAppleオリジナルのプレイリストからピッタリのものを選んで再生が始まります。また曲名やアーティスト名、アルバム名などをSiriに伝えて再生することもできます。一旦再生が始まればiPhoneなどから一時停止や曲のスキップ、戻し、音量調整などが可能になります。
ただし空間オーディオ、ロスレス音源、ミュージックビデオ、歌詞の表示には対応しておらず、またApple製品以外では操作できないなどApple Musicの基本的な部分とSiriを結合させたプランになっています。
Voiceプランの真意
Apple Music Voiceプランは従来のプランからいくつかの機能を削ったことで月額料金を480円に設定しています。削られた機能の中で、空間オーディオ対応楽曲はまだほとんどなく、ロスレス音源もワイヤレスイヤホンで聴くなら関係のない機能です。ほとんどの人にとってApple Music Voiceプランは月額料金を抑えられる魅力的なプランになるでしょう。
Appleとしてはこのプランの提供でApple Musicのユーザーの裾野を拡大できると同時に、Siriを使いこなすユーザーの増加を見込んでいるのではないでしょうか。Apple Music Voiceプランを入口にして、Siriを生活の中で使いこなしていくユーザーが増えれば、iPhoneだけでなくApple TVやHomePodでSiriを活用していく人も増えるでしょう。
そうなればiPhoneやiPad、Macの外側に広がるAppleのエコシステム(HomePod、Apple TV、HomeKit対応製品、AirPlay対応製品、CarPlayなど)にも多くのユーザーを誘導できるでしょう。Apple Music Voiceプランには、もっと広いエコシステムにユーザーを誘導しようというAppleの野望を感じます。