iPhoneに限らず、近年販売されているスマートフォンの通信速度は実測値でも100Mbpsを上回ります。先ほど計測した数値ではiPhone 6sで170Mbps超の通信速度となっています。通信会社が通信の快適さを追求して競争してきた結果ですが、この通信速度は利用者にとっては宝の持ち腐れになっています。
Web上でテキストデータをやりとりする場合、100kbpsもあれば十分です。VoIPなんかで音声通話をするにしても200kbpsもあれば高音質での会話が楽しめます。画像の多いサイトを見る場合も2Mbpsくらいで問題はありません。動画だって5Mbpsの速度があれば十分スマートフォンで楽しめるように設計されています。
そのスマートフォンで100Mbpsってどんなときに使うのでしょうか。将来的に動画コンテンツの主流になるであろう4K動画を楽しむのには50Mbpsくらいが必要と言われていますが、ここでも100Mbpsも使うことはありません。また4K動画を3分楽しむだけで1GB以上のデータ通信量となり、現在の料金体系を考えるとスマートフォンで4K動画を見るのは現実的ではありません。そもそもスマートフォンで4K動画をフル解像度で楽しめる機種がほとんどありません。
一体、この高速通信を何に使うべきなのか。利用者も通信事業者もまだ答えを見つけられていないのではないでしょうか。そんな状態でさらなる高速化競争が行われるとすれば、それは利用者を置き去りにしたものになりかねないと危惧しています。高速通信の使い道が見つかっていない現時点では、高速化競争よりも料金競争(データ単価の引き下げ)が今後の情報通信社会の発展に役立つと思っています。