今年の5月、AppleのクックCEOは次期iPhoneについて「誰もが新型iPhoneに買い換えたくなるような革新的機能を搭載する」と発言しています（5月の記事）。既に新機能の多くがリークという形で明らかになった今、この革新的機能とは何かを考えます。
デュアルレンズカメラ搭載
iPhone 7 Plusの背面カメラを二つ搭載することはほぼ確定です。デュアルレンズカメラで撮影すれば、撮影後のピント再設定が可能となり、またスマートフォンの小さなカメラでも奥行きのある写真が撮れるとされています。既にデュアルレンズカメラを搭載しているHuawei P9は片方をカラーセンサー、もう片方をモノクロセンサーとして、それぞれのデータを融合させてより美しい写真を撮影できるような工夫がなされています。
iPhone 7 Plusがどのような形でデュアルレンズカメラの特徴を活かすのかは不明ですが、今回の新モデルの最大の特徴になるはずです。この最大の特徴を指してクック氏が「革新的な機能」と言ったとすれば、カメラの完成度には大いに期待していいかもしれません。これまでiPhoneが弱かった暗い部分での撮影にも強くなっていれば、確かに革新的と言えるかもしれません。
FeliCaへの対応
最近になってiPhone 7/7 Plusが日本で広く使われている非接触IC規格「FeliCa」に対応するとの情報が多く出ています。かなり確度の高い情報のようで、その対応は9月7日のスペシャルイベントで発表されるでしょう。これまで頑なに搭載してこなかった機能がようやく載るわけで、日本のユーザーにとっては「革新的」と言えるでしょう。
ただ世界中のユーザーにとって革新的と言えるかは別です。FeliCaが採用されているのは日本以外では香港で少し、という状況です。もしこれが「革新的」と言えるレベルのものであれば、Apple Pay自体が今後はFeliCaの規格に準拠しますというオマケがつく必要があるでしょう。FeliCaの反応速度の速さは今のApple Payにはありません。それが「iPhone 7/7 Plus以降ではFeliCaの特徴を活かして素早い決済が可能になる」とすれば革新的かもしれません。
ただ対応の決済端末の導入も必要であり、Apple Payが全面的にFeliCaを利用するのは現時点で可能性が高いとは言えません。
Lightningイヤホン
デュアルレンズカメラの採用と同じくらいインパクトがありそうなのがLightningイヤホンの採用です。おそらく同時にApple Music（もしくはiTunesの楽曲販売）で一部の曲がハイレゾ音源となることが発表されるでしょう。この二つの変更で、iPhoneでは気軽により高音質な音楽を楽しめるようになります。
Apple Musicのハイレゾ対応は大きなインパクトがあります。これを楽しむにはiPhone 7/7 Plusが必要となれば、その売れ行きにも影響するレベルになるはずです。「革新的」と言える機能なのは間違いありません。
防水性能の向上
iPhone 7/7 Plusでは防水機能が強化されると言われています。これまでもiPhoneは公式には認めていませんが、一定の防水能力を持っていることが確認されています。この防水性能が感圧タッチ式のホームボタンの採用で更に向上するのではないかと見られています。
しかし防水性能はあくまでスマートフォンを快適に使うための補助機能であり、メイン機能という位置付けにはなりにくいと思います。またいくら防水性能が上がると言っても、水の中で使うような使い方は推奨されず、目玉機能になるようなインパクトはないと予想します。もし仮に防水性能の向上が「革新的」というなら、かなり高水準の防水性能を実現していることになり、それならそれで楽しみではあります。
感圧タッチ式のホームボタン
iPhone 7/7 Plusからホームボタンが感圧タッチ式になり、物理ボタンではなくなるとの情報もあります。防水性能を高める効果や故障頻度を下げる効果が期待でき、地味ですが期待していい新しい機能だと思われます。
ただ、これも防水性能の向上と同じく、これがiPhoneの便利さを牽引する存在にはなり得ず、革新的な新機能というには物足りなさを感じます。感圧タッチのホームボタン搭載には期待しますが、これがクック氏のいう「革新的な新機能」ではないことを祈ります。
ちなみにこれら以外にもリークされていない新機能がサプライズとして登場する可能性はあります。その意味でも9月7日（日本時間8日未明）のスペシャルイベントは必見です。