昨年末、docomoは通信規制のルールを変更し「3日で1GB以上通信した場合に速度規制を実施する可能性がある」との表記をWebサイト上から消去しています。実際にメディアが確認したところ、docomoはサイトの表記だけでなく通信規制の運用を廃止しており規制を受ける可能性は名実ともになくなったことになります。
もともとdocomoでは3日で1GB以上通信してもユーザーが規制を実感することはありませんでした。そのため「名実ともに」たとの表現になりますが、これはモバイル通信の世界で地味だけども大きな変化だと考えます。このニュースは昨年ブログでも取り上げましたが、今日週アスPLUSの間違い記事で話題になったので、もう一度その意味を考えてみます。
そもそも1GB/3日の規制は「使い放題だけど、短期間で大量の通信は控えてください」との趣旨から生まれたものでした。もちろん使い放題といっても7GBの上限が設定されているのですが、LTEが始まった頃は7GBでも実質使い放題という認識に大きな間違いはありませんでした。ユーザー側も「使い放題でそれほど料金も高くないし、みんなが快適に使えるなら規制は致し方ないかな」くらいの認識でした。
しかしその後、LTEが超高速となり、スマートフォンも高性能で大画面が当たり前になりました。コンテンツも歩調を合わせるように大容量化したことで、月間7GBは使い放題とは言えなくなってきました。iPhoneも画面が大きくなり、高画質(大容量)の動画コンテンツを利用する機会が増えています。
ちょうどこの時期に国内大手通信キャリアは新料金プランを相次いで発表し、通信料金を定額制から従量制へと変更し、状況が変わり始めます。
通信料金が従量制へと移行したことで「使い放題だから我慢してくれ」というキャリア側の理論は通用しなくなります。ユーザー側からすればお金を払って通信量を購入しているのに、使い方に口を出されるのは理不尽です。この理不尽をいち早く解消したのが今回のdocomoの規制廃止です。おそらく他社も続くと思われますが、まだau(規制運用は利用者が感じない程度)もソフトバンク(厳密に規制を実施、快適プラン加入で回避可能?)も規制撤廃には消極的なようです。
今後、ユーザーには「お金を払って通信をしている」という意識がさらに広がり、その質を重視するようになるのは間違いありません。もちろん規制の有無は通信品質評価に直結します。またキャリア側も通信品質を高めれば高めるほど利用者が快適に通信してもらうことになり、結果として通信料収入を向上させることができます。
このような関係は通信キャリアとユーザーの本来の姿であり、その姿に近づくきっかけになるdocomoの規制廃止は非常に意味のあるものと考えます。