トランプ氏が次期アメリカ大統領として指名されることとなり、政治の世界だけでなく、経済や文化の世界でも多くの混乱(不安)が発生しています。Appleも混乱に巻き込まれる可能性のある企業の一つです。この混乱(もしくは不安)に対してクック氏は従業員向けにメッセージを出しています。
Appleの理念とトランプ氏の主張とは正反対
トランプ氏の言動は問題を指摘されることが多く、特に多様性に対して不寛容な姿勢・発言が目立つことから、同氏が理想とする社会はAppleが目指している社会とは相いれないと見られています。この不寛容な姿勢に対してAppleの従業員だけでなくアメリカ国民の多くも不安を持っていると思われます。
そうした不安に対して、クック氏はCEOという立場からAppleの従業員にメッセージを発しています。全文(英語)がBuzfeedに掲載されていますが、要約すれば「応援した候補者は別々だっととしても、一丸となって前に進もう。Appleの方針は不変です。我々は全てに開かれ、多様性を尊重する」という趣旨です。
最後にもう一度「ともに前に進もう」と記されており、Apple社内にある動揺を鎮め、従来通り、多様性を尊重し様々な価値観を持つ従業員を支える姿勢を明確にしています。
Appleの事業展開にも注文
トランプ氏は選挙期間中に掲げた「偉大なアメリカを取り戻す」のスローガンの下に、製造業の米国内への回帰を訴えています。アメリカの企業の製品であるiPhoneが中国で製造されていることに対して不満を表明し、Apple製品のボイコットを呼びかけました(その後、トランプ氏自身がiPhoneからツイートしていることが判明していますが)。
トランプ氏はiPhoneはアメリカで製造されるべきとの主張も展開しており、もしそのような強制が可能になったとすればiPhoneは15万円以上する製品になると予想されています。暴言がそのまま政策になる可能性は低いものの、大きな流れとしてトランプ氏の考えが政策に反映されることでAppleの企業活動にマイナスに動く可能性は否定できません。
iPhoneが15万円となれば日本のAppleファンにとっても影響は大きいでしょう。今からトランプ氏の大統領就任まで約2ヶ月、同氏がどこまで現実路線に転換してくれるかに注目しています。