アメリカ大統領選挙は何かと問題を含む発言を繰り返すトランプ氏が当選し、同氏が選挙戦で主張した政策がどこまで本気で実行されるのか、各方面で手探りが続いています。そして手探り状態なのはAppleも例外ではないようです。
鴻海(ホンハイ)精密工業がAppleの要請で検討
トランプ氏は選挙戦を通じて「偉大なアメリカを取り戻す」とのスローガンを掲げ「米国企業であるAppleはiPhoneを米国内で製造すべき」と主張していました。iPhoneを米国内で製造した場合、製造コストが上昇し販売価格は15万円を上回るとの試算もありますが、トランプ氏はそうした試算を無視して「製造業の米国回帰」を主張しています。
日本経済新聞(iPhone生産、鴻海が米へ移管検討 トランプ氏政策に対応)によるとこのトランプ氏の当選を受けて、Appleは製造請負企業であるホンハイとペガトロンの2社に米国内でのiPhone製造の検討を打診したようです。ペガトロンは製造コストが2倍になることを理由に無理だと判断したようですが、ホンハイは検討を進めているとのことです。
コストを上回るメリットがあれば
単純に製造コストを考えれば米国でiPhoneを製造する理由はありません。しかし仮に米国内に製造業を回帰させた企業に対して政府からなんらかの補助や優遇を実施するとすれば、話は変わってくるでしょう。どの程度の優遇があれば米国内にiPhoneの製造を移管する方が得策か、Appleも本気で試算しているのかもしれません。
またトランプ氏が当選したということは、それだけ米国内にトランプ氏の主張を受け入れている人も多いということです。この人たちもAppleの大切な顧客であり、iPhoneが「Made in China」から「Made in USA」に変わることで、トランプ氏を支持したような消費者の消費行動がどこまで変わるか(米国内で製造することでiPhoneが売れるようになるのか)も検討対象になっているかもしれません。