AppleはiPhoneにも通信チップを提供するQualcommに対して10億ドルにも達する未払金の支払いを求める訴訟を起こしました。Qualcommが独占的な供給の見返りとして支払ってきたリベートを一方的に停止したことが訴訟の原因になっているようで、両社の関係はこじれそうな気配です。
iPhoneの性能への影響も
AppleはiPhone 7からQualcommとIntelから通信チップを調達するようになりました。それまではQualcommが通信チップを独占的に供給していたのですが、AppleがiPhoneの主要部品を1社(Qualcomm)だけに頼るリスクを回避したためとも読み取れます。これが今回、AppleがQualcommに対して訴訟という形で強気に出られた背景にあるのかもしれません。
ただ一部のiPhone 7、iPhone 7 Plusに搭載されたIntelの通信チップは性能(通信速度や安定性)がQualcommのものに比べて劣ると言われています。日本で販売されているモデルは全てQualcommの通信チップを搭載しているので、日本ではあまり話題になりませんでしたが、米国ではiPhone 7発売当初大きな話題になりました。
仮にQualcommからの通信チップ供給がなくなれば、iPhoneは全てIntel製のチップを搭載することになり、もしかしたらこれまでよりも通信の安定性が落ちる可能性も無きにしも非ずです。
一般論として法廷闘争と部品供給は別
しかし、サムスンとAppleの例をもあるように、特許や意匠の問題で法廷闘争を繰り広げている企業が部品供給の契約をこれまで通り継続することはよくあります。おそらくQualcommとAppleもこのような関係で、これまで通りに部品を発注・供給していく可能性が高いと考えられます。
ただ訴訟の遠因となったQualcommの特許料が高額すぎることが認められ、契約による各種束縛が独占禁止法上問題があるとされれば、AppleがQualcommに対して支払う特許料が減額される可能性はあります。AppleはQualcommに対し、通信関連の特許を持つ他社(10数社)に支払っている特許料の5倍の額支払っているとしています。これが安くなれば、もしかしたらiPhoneの価格にも影響するかもしれません(値下げ方向に)。