UberのCEOがトランプ政権の経済政策助言メンバーを辞任したとニュースになっています(ウーバーCEOがトランプ氏の助言役辞任)。Uberは配車サービス(ライドシェア)で一気に成長した企業で、AppleもiPhoneやApple Watchでいかに便利にUberが使えるかをことあるごとにアピールしています。
スト破り批判に屈する
CEOの助言役辞任のきっかけになったのはいわゆる「スト破り」に対する批判でした。トランプ大統領は就任直後に外国人の入国規制を強化しましたが、その政策への抗議としてタクシー業界(組合)がタクシーのJFK空港への乗り入れを拒否しました。しかしUberは逆に空港周辺での乗車について割増料金を撤廃するなど、抗議とは逆の行動に出ました。これに対して多くのネットユーザーが批判を展開して、Uberアプリを消去する運動まで発生しました。
Uberに対する抗議は広がりつつあり、それを食い止める意味でも企業としてなんらかのけじめをつける必要があったのでしょう。ネット上に広がる抗議に屈する形で同社CEOがトランプ氏の助言役を辞任したことで「抗議した者の勝利」と報じるメディアもあります。CEOが要職を辞任したとはいえ、この件で一部ユーザーのUberに対する印象が悪くなったのは事実でしょう。
企業としての倫理観はイマイチ
もともとUberは多様なな価値観や個人情報保護、サービス提供国の法律への配慮がおろそかになりがちな企業でした。Uberの広告が女性蔑視だと批判されたこともあり、また利用者の情報を簡単に漏洩させたことを批判されたこともありました。とにかくイケイケで成長している反面、安易なプロモーションなど様々な事柄への配慮の少ない企業というイメージが定着しつつあります。今回のことの発端も、タクシーがストライキするならUberを使ってもらえるチャンスだと安易に考えたのが原因かもしれません。
ちなみに日本でもUberは実証実験としてライドシェア事業を開始一部開始したものの、国土交通省から「白タク行為」と指摘されて、実験を中止したこともあります。事前に法律面での問題を精査すればすぐにわかることでしたが、それもせずに実験に踏み切ったのもUberらしさなのかもしれません(東京でのUberサービスは国内法の範囲内で提供されています)。Uberは確かに画期的なサービスですが、どこか危なっかしいイメージがつきまとうのも事実です。