2020年のWWDCの基調講演はオンライン開催となったものの、例年通りたくさんの新しいことが発表されました。いろいろ面白そうな新機能や新しい試みがあったのですが私が一番興味を惹かれたのがAirPods Proの「Spatial Audio(空間音響)」です。
音響空間を保持
iPadOS 14(iOS 14)へのアップデートとAirPods Proのファームウェアのアップデートで使えるようになる「Spatial Audio」はこれまでのAirPods Proを飛躍的に進化させると期待しています。「Spatial Audio」は7.1ch、もしくは5.1ch、Dolby Atmosで録音されたコンテンツに対応し、音源の位置を正確に再現しユーザーの姿勢が変わっても音響空間が移動しないように音が再生されると紹介されていました。
またバスや鉄道、飛行機に乗車中に進行方向が変わったとしても音響空間はユーザーを中心として維持されるなど、よりコンテンツに没入できる音響をAirPods Proで楽しめるようになるようです。どこまで音響空間が再現されるかその完成度次第なところはありますが、AirPods Proが高い完成度の「Spatial Audio」を搭載できれば、他社が販売する同様の製品が霞んでしまうほどのインパクトを持ちそうな気がします。
さらに考えるとこの機能を応用することで、ARアプリに音響空間を組み合わせることも可能になりそうです。視覚だけでなく、聴覚でもARを感じることができればさらに豊かなAR体験につながるのではないかと期待します。仮想的な音源の位置をずらさないのと、動きに合わせて移動させるのは原理は同じっぽいのでそれほど難しいことではないと思います。
iPhoneとAirPodsは既に定番の組み合わせとなっています。その組み合わせの便利さがAirPodsだけでなくiPhoneの販売数にも影響を及ぼすレベルと言っても過言ではありません。AirPodsシリーズの進化はそのままiPhoneやiPadの進化に直結しており、「Spatial Audio」は今回のWWDCの発表の中でかなり興味深いものでした。